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お客様の疑問に答える: 絶対知っておくべき「相続登記義務化」の3つのポイント
2024年4月1日から相続登記の義務化が始まり、不動産所有者にとっては大きな変化となります。この新制度により、所有者不明の土地問題に対処し、相続に関する手続きの明確化が期待されています。ここでは、相続登記義務化の概要や背景をはじめ、義務化についての3つの重要ポイントと、住宅事業者がお客様からご相談を受けた場合に提供できるアドバイスまで解説します。
なぜ相続登記義務化されたのか?
相続登記義務化の背景には、所有者が不明な建物、土地の増加が挙げられます。この問題が土地利用の障害となり、社会や経済にさまざまな負の影響を及ぼしていたため、相続登記が義務化される事となったのです。
空き家所有者の76.8%は「相続登記の義務化」を知らない
株式会社カチタスの「第1回 空き家所有者に関する全国動向調査(2021年)」によると空き家所有者の76.8%がこの義務化を知らないという状況があり、家族との相続に関する話し合いが不足している現状も明らかになっています。
空き家の相続に関して家族間での会話が行われているかどうかについて尋ねた結果、約66.7%の人々が「家族とは話をしていない」と回答しました。
空き家の登記情報や相続後の使用計画、処理方法が不明瞭だと、残された家族にとって負担となる可能性があります。したがって、空き家の今後の取り扱いは家族内でしっかり協議しておくことが望ましいです。
「相続登記」は、相続により不動産を取得した際に不動産名義を相続人に変更することです。これまでは義務ではなく任意であり、すぐに活用しない場合などでは相続登記をしないという流れがありました。お客様に空き家をどうするかを家族できちんと話合っているかなどを、お客様に啓蒙することも信頼や安心感につながります。
義務化における3つのポイント
- 相続登記の期限は3年:相続があったことを知った日から3年以内に登記を完了させる必要があります。
- 罰則の適用:正当な理由なく相続登記を行わなかった場合、10万円以下の過料が課される可能性があります。
- 過去に相続した不動産も対象:2024年4月以前に相続した不動産も義務化の対象になり、施行日または知った日から3年以内に登記する必要があります。
相続登記のプロセス
相続による不動産登記は、その不動産が位置する地域の法務局で実施されます。このプロセスには、大まかに分けて次のステップが含まれます。
- 不動産関連情報の収集
- 相続人を特定する
- 必要書類の準備
- 遺産分割合意書の作成(必要に応じて)
- 法務局で手続き申請を行う
相続登記にかかる費用は?
相続登記の際には、主に次の2つの費用が発生します。
- 登録免許税
- 書類取得費用
登録免許税について
登録免許税は、不動産登記時に国へ支払う税金です。この税金は不動産の固定資産税評価額に基づいて計算され、以下の式で求められます。
相続登記に要する登録免許税 = 不動産の固定資産税評価額 × 0.4%の税率
自分で手続きする場合と司法書士に依頼する場合
項目 | 自分で手続きをする場合 | 司法書士に依頼する場合 |
---|---|---|
登録免許税 | 固定資産税評価額×0.4% | 固定資産税評価額×0.4% |
必要書類の取得費用 | 約5,000円 | 約5,000円 |
司法書士報酬 | 0円 | 7万円~10万円 |
遺産分割協議書作成費 | 0円 ※公正証書にする場合は3~10万円 |
約5万円 ※遺産総額の0.3%~1%程度 |
これらの費用は自治体によって異なるため、手続き前に各自治体で確認することが重要です。さらに、相続登記を司法書士に依頼する場合、報酬として約7万円から10万円が必要になります。これは相続人の数や不動産の数、事務所によって変動します。相続登記は自分で行うことも可能ですが、急ぐ必要がある場合や相続関係が複雑な場合は、専門家の支援を求めることをお客様にしっかりお伝えしておきましょう。
住宅事業者としてお客様に提供できるアドバイス
相続登記を怠ることによるリスクの説明、相続登記の流れや必要書類の準備に関する情報提供、そして相続登記の義務化の適用対象外となる特例の説明です。これらの情報を提供することで、お客様の不安を解消し、信頼されるパートナーとしての位置づけを強化できます。
また、お客様が必要とする場合は、専門の法律家や税理士への相談を勧めることも忘れずに行いましょう。お客様との関係を深め、より信頼される住宅事業者となるために、相続登記義務化に関する知識をしっかりと身につけ、お客様の質問に対して的確に答える準備をしておくことが大切です。
この記事が、相続登記義務化に対応する上での一助となれば幸いです。
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